子供のスケジュールを「空白」にすべき理由。「退屈」が創造性を41%アップさせる驚きの実験結果

退屈な子供
あなたも、子供の将来を想うあまり、ついこんなふうにスケジュールを組んでいないでしょうか?
 
月曜日はピアノ、火曜日は水泳、水曜日は英語……そして週末は塾のテスト対策。
 
子供が家でゴロゴロしながら「あー、暇だな。退屈だ〜」と言っているのを見ると、「せっかくの休みなのに、何か意味のあることをさせなきゃ!」「時間を無駄にしているんじゃないか?」と、どこか不安や焦りを感じてしまう。
 
親としては、少しでも多くの経験やスキルを持たせてあげたいと思うからこそ、予定をぎっしり詰め込んでしまいますよね。
 
しかし、最新の学習科学と脳科学は、そんな私たちの「良かれと思ってやっていること」にちょっとした警鐘を鳴らしています。
 
実は、子供の時間を細かく管理し、すべての瞬間を「有意義」にしようとする「ハイパースケジューリング」は、子供が将来最も必要とする「自分で考える力」を奪ってしまっているかもしれないのです。
 
 
 

「退屈」は悪いことではない? 脳科学が示す驚きの事実

私たちは、何もしない空白の時間や「退屈」を、無責任で無駄なものだと結びつけてしまいがちです。
子供が退屈していると、大人はパニックになり、慌てて何かやることを与えようとします。
 
しかし、脳科学の研究によると、「退屈」は子供にとって非常に貴重で生産的な脳の状態であることが分かっています
 
忙しすぎる状態は、子供たちから深く途切れない思考や、インスピレーションが湧く余白を奪ってしまいます。
一方で、「退屈」という一見不快な感情は、子供たちをその不快感から押し出し、「じゃあ、何か面白いことを自分で見つけよう」と、別の新しい行動へと導く強力なきっかけになるのです
 
 

「退屈」が創造性を41%も高める! 衝撃の実験結果

退屈な時間がどれほど創造性を刺激するかを示す、非常に興味深い実験があります
 
実験の参加者は、15分間にわたって「電話帳からただ数字を読んだり書き写したりする」という、極めて退屈な作業を行わされました
 
その後、彼らは創造性を測るテスト(例えば「紙コップの新しい使い道を思いつく限り挙げてみて」といった発散的思考の課題)を受けました
 
その結果はどうだったと思いますか?
 
なんと、退屈な作業をしたグループの方が、そうでないグループに比べて、創造的な解決策や新しいアイデアを41%も多く思いついたのです
 
退屈している時、私たちの心はさまよい、空想の世界に入り込みます
しかし、この「心ここにあらず」の白昼夢の状態こそが、脳の「デフォルト・モード・ネットワーク」を活性化させ、バラバラだった情報を結びつけ、未来を思い描き、新しいアイデアを生み出すための重要なプロセスなのです
 
 

自分で「時間の使い方」を決める経験が、前頭前野を鍛える

また、子供の1日を大人がすべてスケジュールで埋め尽くしてしまうことのもう一つの弊害は、「自分で自分の時間を管理する練習のチャンス」を奪ってしまうことです
 
「今日は何をして過ごそうか?」「どうやってこの空白の時間を埋めようか?」と悩むこと。この「どう時間を使うか」を自分自身で決定する経験は、脳の「前頭前野」を強烈に活性化させます
 
前頭前野は、計画を立てる、衝動を抑える、感情をコントロールする、柔軟に問題を解決するといった「実行機能」を司る、脳の司令塔です
 
予定が白紙の「空白の時間」を与えられ、そこから自分で遊びや探求を生み出す経験を積むことで、子供たちはこの実行機能を鍛えていきます
逆に言えば、大人に1分1秒まで管理されている子供は、この最も重要なスキルを練習する機会がないまま成長してしまうのです
 
 
 

「時間を忘れる」という、子供時代だけの魔法

あなたが子供だった頃のことを、少しだけ思い出してみてください。
 
森の中で秘密基地を作っていた時、友達とごっこ遊びに夢中になっていた時、何時間もがあっという間に過ぎ去り、「永遠に続く夏休み」のように感じたことはありませんでしたか?
 
この「時間を忘れて完全に没頭している状態」を、心理学では「フロー状態」と呼びます フロー状態にある時、脳内では学習を最高にブーストさせる様々な神経伝達物質(ドーパミンやノルアドレナリンなど)が溢れ出し、最も深く、喜びに満ちた学びが起きています
 
しかし、フロー状態は「15分刻みのスケジュール」の中では決して生まれません。子供が何かに没頭し、深く入り込むまでには、たっぷりと豊かな時間が必要です
「もうすぐ次の予定(習い事)があるから」と分かっていると、子供の脳は無意識に「どうせ途中で中断されるから」と、表面的なところで探求を止めてしまうことも分かっています

 

余白を恐れず、見守る勇気を持とう

子供が「退屈だ〜」と床でゴロゴロし始めたら、それはチャンスです。 親として「何か意味のあることをさせなきゃ」と焦る必要も、罪悪感を感じる必要もありません
少しの不快な退屈をやり過ごした先には、必ず子供自身が立ち上がり、自分の頭で考え、何か面白い遊びや発見を生み出す瞬間が待っています
 
私たち大人ができる最高のサポートは、スケジュール帳に「予定のない空白の時間」を意図的に作り、子供が自分で自分の時間をデザインしていく姿を、焦らずにじっくりと見守ってあげることです。
何もしない、急がない「余白の時間」こそが、子供の脳と心を育む、最高のプレゼントになるはずです。
 
 
 
 
 
好奇心ラーナーのご紹介

好奇心ベースの教育をもっと知りたい!

アメリカ・ソノマ州立大学 発達心理学教授で、子どもの学びと好奇心を研究する第一人者ウェンディ博士による、科学的根拠に基づいた「子どもの好奇心を起点とする、主体的な学習環境の作り方」についてより深く学べます。

 

三尾洋介

大学卒業後、視野を広げるためオーストラリアへ。 そこで会った自由な人たちに影響され、子供の時から憧れていた芸人の道へ進む。が、プロの世界の猛者の方々の桁違いな創造力と行動力の凄まじさを体感し芸人の道を諦める。その後、日本中を行商としてあるく。若さとノリで売っていたためそれでは長くは続かないことを感じ2年ほどで辞める。しかし相変わらずの強運に恵まれアート関連事業を始めるきっかけをいただく。 アート関連事業をはじめると多くの画家や音楽家、写真家、教育者、事業家の方々とのご縁もいただき、一般社団法人 日本彫紙アート協会、一般社団法人 日本アート教育振興会を設立。 現在は、日本彫紙アート協会を譲渡し日本アート教育振興会の代表理事を務める。様々なアーティストやプロフェッショナルな方々と協力し、写真講座や、アートの力を活かした能力開発プログラムなどを展開。 協会アワード2013では教材開発力が認められ、教材開発部門賞を受賞している。趣味は、息子とサッカー、テニスをすることと、天気の良い日に喫茶店で読書をすること。レストランや喫茶店に行くと、真冬でも真夏でもテラス席に行きたがる。

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