ご褒美シールは今日で終わりにしよう。「外発的動機」が学びの喜びを破壊する残酷な事実

ご褒美をもらう子供
日々子供と向き合う中で、こんな言葉をかけていませんか?

「このドリルを最後までやったら、シールを貼ってあげるね!」
「テストで良い点を取ったら、ご褒美にゲームを買ってあげる!」
「えらいね!すごく上手にできたね!」

子供が喜ぶ顔が見たくて、そして少しでもやる気を出してほしくて、私たちはつい「ご褒美」や「褒め言葉」を使いますよね。
それで一時的に子供が頑張る姿を見ると、親としても安心するものです。

しかし、もしこの「良かれと思って与えているご褒美」が、子供が本来持っている「自ら学ぶ力」を根本から破壊しているとしたら、どうでしょうか?

今回は、最新の学習科学で明らかになっている「ご褒美(外発的動機)」に関する、少し残酷な真実についてお話しします。
 
 
 

「ご褒美」が子供の純粋な好奇心を奪っていく

「ご褒美をあげればやる気が出るはず」という私たちの常識を覆す、衝撃的なデータがあります。
 
アメリカの著名な教育哲学者アルフィー・コーン氏は、「成績」「シール」「褒め言葉」といった外部からの動機づけ(外発的動機)が、子供の内なるやる気(内発的動機)にどのような影響を与えるかを調べた128もの研究データ(メタアナリシス)を分析しました
 
その結果は、非常に厳しいものでした。
なんと、すべての研究において「ご褒美(外発的動機)」は、子供の深い内発的動機に対して「有害」であることが分かったのです
 
特に、幼い子供たちにとっては、はるかに有害な影響を与えていました
子供は「これ、なんだろう?」「もっと知りたい!」という純粋な好奇心で何かに没頭しているとき、脳の最も高度な部分を使い、深い学びを得ています
 
しかし、そこに「シール」や「良い成績」というご褒美がぶら下げられた瞬間、子供の目的は「学ぶことの楽しさ」から「他人(大人)を喜ばせること」や「ご褒美をもらうこと」にすり替わってしまいます
 
すると、脳の集中力は奪われ、一時的に頑張ることはあっても、長く続く「純粋な学ぶ喜び」は消え去ってしまうのです
 
 

「褒める」ことも逆効果になる!?

さらに驚くべきことに、私たちが日常的に使っている「褒め言葉」でさえも、子供の学びにはマイナスに働くことがあります
 
確かに、褒められれば子供はその瞬間、いい気分になります
しかし、それが繰り返されると、子供は「大人の承認(評価)」を強く求めるようになり、自分自身の純粋な願望や好奇心から行動を起こす意欲が乗っ取られてしまうのです
大人の評価や判断に頼るようになり、大人が「すごいね」と言わなくなると、やる気を失ってやめてしまいます
 
教育哲学者のジョン・ホルトは、こう警告しています。
「幼い子供が本来持っている学ぶことへの喜びを、私たちは台無しにしてしまう。シールや成績といったちっぽけなご褒美をあげて学ばせ、失敗すれば罰するといったやり方で」
 
 

好奇心(内発的動機)の圧倒的なパワー

一方で、誰かに言われたからでも、ご褒美があるからでもなく、「純粋にこれが知りたいから!」という内発的な好奇心で学んだ子供たちは、どうなるのでしょうか。
 
数々の研究で、自発的な好奇心で学んだ子供たちは、ご褒美で釣られて学んだ子供たちよりも、はるかに強くモチベーションを保ち、より多くの情報を深く記憶に定着させていることが証明されています
 
ご褒美で無理やり走らせる「努力」よりも、自らの好奇心で走り出す「夢中」の方が、圧倒的に高い学習効果をもたらすのです
 
 
 

「評価する大人」から「一緒に不思議がる伴走者」へ

ご褒美シールも、過剰な褒め言葉も手放すとしたら、私たちはどうやって子供の学びをサポートすればいいのでしょうか?
 
答えは、「評価すること」をやめ、「環境を整え、見守ること」です。
そして、何よりも大人自身が「一緒に不思議がって楽しむ」ことです。
 
米国ソノマ州立大学の認知発達心理学者、ウェンディ・オストロフ教授が提唱する「好奇心ベースの教育」では、大人が「ご褒美」や「評価」という枠を外し、子供の純粋な好奇心を爆発させるための具体的なメソッドを科学的なエビデンスに基づいて解き明かしています。
 
そのすべてを学び、あなたの家庭や教室ですぐに実践できる場が、『好奇心ラーナー・コーチ養成講座』です。
 
本講座では、ウェンディ教授のレクチャー動画から「子供が勝手に学び出すメカニズム」を学び、全国の仲間とのオンライン対話を通じて、それをあなた自身の深い実践スキルへと変えていきます。
 
「ご褒美で釣らなきゃ勉強しない…」という毎日のプレッシャーからあなた自身を解放し、子供が本来持っている「自ら学ぶ天才的な力」を一緒に引き出してみませんか?
 
ご褒美シールは今日で一旦横に置いて、子供との新しい学びの形を始めましょう。
 
 
 
 
 
 
 
好奇心ラーナーのご紹介

好奇心ベースの教育をもっと知りたい!

アメリカ・ソノマ州立大学 発達心理学教授で、子どもの学びと好奇心を研究する第一人者ウェンディ博士による、科学的根拠に基づいた「子どもの好奇心を起点とする、主体的な学習環境の作り方」についてより深く学べます。

 

三尾洋介

大学卒業後、視野を広げるためオーストラリアへ。 そこで会った自由な人たちに影響され、子供の時から憧れていた芸人の道へ進む。が、プロの世界の猛者の方々の桁違いな創造力と行動力の凄まじさを体感し芸人の道を諦める。その後、日本中を行商としてあるく。若さとノリで売っていたためそれでは長くは続かないことを感じ2年ほどで辞める。しかし相変わらずの強運に恵まれアート関連事業を始めるきっかけをいただく。 アート関連事業をはじめると多くの画家や音楽家、写真家、教育者、事業家の方々とのご縁もいただき、一般社団法人 日本彫紙アート協会、一般社団法人 日本アート教育振興会を設立。 現在は、日本彫紙アート協会を譲渡し日本アート教育振興会の代表理事を務める。様々なアーティストやプロフェッショナルな方々と協力し、写真講座や、アートの力を活かした能力開発プログラムなどを展開。 協会アワード2013では教材開発力が認められ、教材開発部門賞を受賞している。趣味は、息子とサッカー、テニスをすることと、天気の良い日に喫茶店で読書をすること。レストランや喫茶店に行くと、真冬でも真夏でもテラス席に行きたがる。

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